死者の如き従順

脱落者・敗北者・落伍者と連帯するブログ

三吸人乳輪問答

 綿海先生は生まれついての母乳好き。そのうえエロ同人が大好きときている。そんな先生の下にあんみつよもぎ亭の新作を持ってやってきたのは剛直君と珍士君。大いにおねショタの話で盛り上がっていると、珍士君が切り出した。

 

 珍士「こんにち第一に論じるべきは、授乳手コキであります。ああ、授乳手コキ。性欲を持て余した猿によるパイズリは愚かにも自身その欠陥に気づかない。乳首コキはその欠陥を悟り、半ばを改めただけです。授乳手コキこそ、一点の汚れもない体勢なのです。男と女の最初の交合は、まさしく女の乳を吸うところにあります。私たちはこの理想に回帰し、コク深いあの乳を飲みながら、女の柔腕に自らの全てを委ねるべきでありましょう」

 剛直「きみはどうかしたとみえる。白人女のシリコンを入れ込んだ乳で中折れしたにちがいない。一人前の男子が、百万、千万の血液を結集して一太刀をなしながら、一刀もかえさず、一発もぶっかけず、女のなすがままになるとは、常軌を逸しているとしか思えない。幸いぼくの剛直はまだしっかりしている。パイズリを愚かだというが、乳房は果てしなく広がり、私はそれを己が武器の切れ味をもって征服する。女をイカせられないとすれば、乳内で子種が勇名をとどろかすだけだ。珍士君、君は保護を楽しみたまえ、ぼくは支配を楽しむとしよう」

 綿海「なるほど、なるほど。お二人の意見はよくわかりました。剛直君の方ですが、おっぱいが性感帯という幻想に依拠している。だいたい、いきなり組み倒しておっぱいにものを挟むなんてのは、君主的な男の独断専行でしかなしえません。一方、珍士君の方はまず、おっぱいの本質を理解していない。おっぱいとは母乳を乳飲み子に飲ませるものであるが、そのふくよかな肉は口だけでなく全身で愛すべきものなのです。乳飲み子は哺乳瓶をただ舌で転がすようにしゃぶるが、おっぱいには顔をうずめてむしゃぶりつくす。おっぱいの中に詰まっている母乳だけでなく、あの肉感も我々は求めなくてはならない」

 剛直「綿海先生は我々のどちらの議論も採用されなかった。では、これからの乳と男根の関係はどうあるべきとお考えでしょうか」

 綿海「おっぱい切った後の断面にぶち込むとかが面白そうですね」

 二人の客はこの言葉を聞いて、思わず引いた。「かねてからご高説は奇抜だとは耳にしていましたが……」

 綿海「乳房百年の計とあってはいたずらに異常なプレーで面白がるのがよろしい」

 さて、三人はまた歓談し、お互いの最高のオカズで致し、空っぽになったところで隣家の鶏がいきなり鳴いて夜明けを告げた。二人の客は驚いて「失礼しましょう」

 綿海先生は笑っていった。「諸君は気づきませんでしたか。いらしてから、鶏が夜明けを告げること、すでに二回。家におかえりになれば、ニ、三年経っていたことがわかりますよ。この家には、また世間とは違った時間が流れているのです」

 二人は声をあげて笑いながら夜明けのなかをともに帰っていった。その後、珍士は牛舎から搾乳機を窃取した罪で懲役刑に服し、剛直は白人女を犯そうとしていたところ、女が隠し持っていた22口径で頭をブチ抜かれた。綿海先生は、相変わらず近所のお産を終えたばかりの女から母乳を買っていた。

 

※テキストは光文社古典新訳文庫の現代語訳を参照した。