死者の如き従順

脱落者・敗北者・落伍者と連帯するブログ

逆張りオタクなのでみんながギリシア観光する中エジプト行ってた

 はい、つまりアサシンクリードオリジンズのレビューです。

 

 若干の経緯説明。私もオデッセイをダウンロードしています。何で1年前の前作やってんのという話ですが、これまで全くできてなかったからです。その頃死ぬほど仕事が忙しかったので、途中だけ触って2時間ぐらいしかプレイできず、そのまま1年放置していたということ。それで、5chのゲームプレイヤーたちの諸見解を総合すると「多分オデッセイやったらオリジンズ戻れねえわ」ということだったので、じゃあオリジンズやるしかねえじゃんと思ったわけです。決して逆張りだからではない。個人的にエジプトよりもギリシアの方が関心あるし。

 

 まあ、土日休みを全振りして20時間ほど遊び、メインクエストだけ一通りクリアした感想としてはそれなりに面白いゲームだと思う。少なくとも2017年当時にプレイしていたらスゲェ面白いと思っただろう。以下、論評していく。

 

・ゲーム性

 暗殺もできるウィッチャー3です。今までのエツィオさんやアルタイルさんはどんなにデカい敵でもエリートな敵でも後ろから襲えばアサシンブレードで1発だったが、今作ではレベルが高い相手に1発でアサシネーションが通らない。なのでレベル上げするしかない。そのためにほぼお使いのサイドクエストやロケーションイベントなどをやっていく。ウィッチャーじゃねえか(ウィッチャーのサイドクエストは作り込まれているものが多いので一緒にすると失礼)。その意味で、スタイリッシュアサシンというよりも地道に強くなる暗殺者なわけだが、まあ俺はこれはいい方向になったと思う。

 やり込み要素は十分。みんな「同じようなイベントの繰り返しで飽きる」とか言うけど、別々の膨大なイベントを用意するのは大変だし、それはそれで疲れる。そこらへんを頭で補完していくのが面白いのであって、オープンワールドRPGは想像力の乏しい人間にはできないのである。

 20時間でメインクエストを一通り終わらせたが、DLCも2つ残してなおかつサイドクエストはほとんどやっていない。恐らく終わらせるのに60時間ぐらいはかかると思われる。ただ、後述するストーリーの問題点でやる気が失せた。

 

・作り込み

 俺はエジプトに興味がないので、よくわからないが、作り込みはすごいのではないか。少なくともエジプト感満載である。ちなみに俺のエジプト観は「ドラえもんのび太ドラビアンナイト」で形成されている。終わり。

 

・ストーリー

 問題があると言わざるを得ない。

 あらすじをネタバレ全開でブチまけていく。古代エジプト、主人公バエク(CV福山潤、これが端的に言って最高である。黒人のルルーシュである)はファラオから任命される「メジャイ(親衛隊+地域の守護者的ポジション)」として奥さんと息子と幸せに暮らしていましたとさ。チッ。ところが、何やかんやあって息子が殺される(実際に息子に刃を突き立てたのは彼自身だが、向けられた刃を受け流して息子の方にやったのを「殺した」と捉えている。これを現代の法律で殺人と主張するのはだいぶ無理がありそうだが……)。やったね!彼は復讐のため、2000年前のキモオタファッションに身を包み、「トキ」「カバ」「ワニ」とかどうぶつビスケットみたいなコードネームを各員持っているコスプレサイコ集団「古き結社」を殺して回るというもの。

 バエクと古き結社こそ、アサシンクリードシリーズにおける「アサシン教団(クソFGOに出てくるアレ)」と「テンプル騎士団(そういえばクソFGOはお得意の歴史に唾吐くアレでジャック・ド・モレーとか出さんのか?お?)」の対立の起源である。その意味でのオリジンズであって決してオリジン弁当のお惣菜の複数形ではない。

 なので、基本的にはエツィオさんがやったことと似ている。ところで、問題とはバエクの奥さんアヤ(CV沢城みゆき)である。バエクだけでなく、奥さんも「結社」のサイコ野郎を追っていた。その過程で例の鼻がもう少し高ければよかったねおばさんことクレオパトラの支援を受け、クレオパトラとその弟で現ファラオであるプトレマイオスの王座争いに荷担するようになっていた。なぜかというと、プトレマイオスの側近たちが「結社」の一員で、クレオパトラとアヤの間で利害が一致しているのである。ところが、アヤはクレオパトラにぞっこんとなり、普通に息子殺しの犯人捜しをサイドクエストにしてしょうもないクソお家騒動に入れ込みはじめたのである。

 このため、夫婦がアレクサンドリアで再会すると既にすれ違いが顕在化している。バエクは「息子を殺した奴」を追っているのに対して、アヤは「結社」を追っているという感じ。もちろんお互い息子死んでかなちいかなちいだね……と言っているのだが、何か違うのである。

 具体例を挙げる。バエクが一番許せない相手は「ヘビ」という結社のメンバーである。何故なら、息子の方に刃を向けさせた張本人だからである。アレクサンドリアで「ヘビ」を追っているはずのアヤは、「難しい事情なのよ」と言って「ヘビ」の正体についてはぐらかす。実は「ヘビ」とは「結社」全体のことを指し、バエクが敵の「ヘビ」だと思って殺したとのは「カバ」と呼ばれるメンバーにすぎなかった。そして、「ヘビはたくさんおるねん!」とか言って、クレオパトラの敵対者である結社の上部メンバー(つまり他の「ヘビ」)殺害に導いていくのだ。普通に考えたらアヤは「ヘビ」のことを知っていたはずなので、それ先にバエクに言えやという話である。バエクの復讐心を利用してクレオパトラが邪魔だと思っている連中を殺すための手助けをさせているようにしか見えない。この時点で俺はだいぶこの女にイラついていた。まあ俺は基本的に女が嫌いですが。

 なので、メインクエストの一部でこのアバズレを操作することになってだいぶイライラさせられた。しかもこの女、大体キレてる。エジプト人は月4391092984回は女の子の日なのか???と思ってしまうほどキレてる。沢城みゆきがヤバい女の演技をしているので、苛立ちも倍になる(これは彼女の演技が凄いということであって苛立っているわけではない)。もうネタバレをバンバンしていくが、最終クエストでブルータスと一緒にカエサル暗殺した時は「何でこいつやねん!!!!!!!!」と突っ込みまくった。いや、ストーリー上はこいつで正しいし整合性はあるんですが……。俺だって気持ちが収まらない時があるんだ。

 まあ、最大限の事情を斟酌するなら、アヤはアヤなりに生きただけということだと思う。最初はバエク同様に「息子殺した奴マジ許さへん」という気持ちで「結社」のメンバーを追っていて、クレオパトラ一派に協力したのはその過程である。それに、海侠のジンベエも「失ったものばかり数えるな!」と言っていて、確かにその意味でアヤは息子の喪失体験を国盗りに打ち込んでいくことで乗り越えようとしたと理解できるかもしれない。しかし、その後のストーリーでバエクに「私たちは親だった」とか「息子への感情ももう」みたいなことを言い出していて、ホントお前はゆっくりレベルの親だなと思った。「また産めばええ」はアサクリ2のカテリーナ・スフォルツァさんだけで十分なんですが……。その意味でちゃんと息子への復讐をやり遂げたバエクさんは偉い(ネタバレです)。

 まあ、そんなこんなでエジプト版お家騒動を舞台回しに、ポンペイウスとかカエサルとかも出てくる。そういう意味で歴史の追体験という感覚が得られる。アサシンは影の存在なので、歴史をいたずらに邪魔しないのである。どっかのFGOと違って。おい!FGO!俺はお前を許さねえ!かかってこい、豚のように惨めに殺してやる!

 

 というわけで、まあこんな感じです。それでは俺は心置きなくオデッセイに行きます。明日は仕事ですが……。