死者の如き従順

脱落者・敗北者・落伍者と連帯するブログ

バイトじゃねえ俺はわさドラに就職

 ――満を持して、このブログで唯一縦軸らしい縦軸であるドラえもんリアタイ視聴レビューの時間だ!!!!!

 

 2021年2月5日、上司が「会議終わったら相談したいことがあるんですよね」とか言われたがその会議が17時半に終わらなかったのでバカが死ねと捨て台詞を吐いて退社、1時間どんどこどんどこ電車に揺られて電動自転車「ケルベロスMKIII」を駆って18時45分に帰宅。そして怒涛の勢いでカレーライスを平らげ、自室にこもって俺はBS朝日にチャンネルを合わせた――。「祝祭」はもう手が触れそうなくらい間近に――。

 

 「鬼は外ビーンズ」。節分に合わせてのヤーツですね。昔これをパッペンハイムの『近代人の疎外』と合わせて鑑賞すると面白いだろうなっていう白昼夢を見た気がするが、そんなもんはおいておいて普通に面白かった。やはりドラえもんを「生」(正確には一週間遅れなので「生」ではないし、そもそもアニメに「生」とかあるのか?みたいな疑念は当然あると思うがAV女優だって本当に中出しされてねえって言うしそういうことはもう脇に置いて楽しんでいこうぜとカッコ内文章をクソ長く書いて文章の流れをぶった切る自意識ダダ洩れキモ丸スタイル)で見られることの歓びもひとしおというかナントカですね……。いや、俺の感情のホップステップジャンプなどこの際どうでもいい。“汲み取る”べきものをまず見ていこう。

 スネ夫の部屋がジャイアンの歌の練習とかいう、三十年戦争もビックリな鉄火場になっていることを気の毒に思ったドラのびが、当てた相手を外に空間転移させて追いやる「鬼は外ビーンズ」を使ってジャイアンを外に追い出す……という話。ひみつ道具の使い手が基本的にたまたまスクラップを免れた不良品とボーダー意志薄弱小学生なのでうまくいかないのは当然でドタバタするので、ドラえもんらしいスラップスティックな10分間を堪能することができた。ほぼ半年ぶりにリアタイ視聴できたのがこの回で僕は嬉しいよ。

 

 「家がロボットになった!」。いや、なるなよ。行き過ぎたIoTという感じでしたね。家のロボトミー手術が求められている。俺は福田康夫メンタリティの持ち主なのでrobotとlobotomyの違いぐらい分かりますとアピールせずにはいられない。家が意志を持つの大体ホラーなので辞めましょう。あと家そのものが意志を持つのは分かるとして、家具とかまで意志を持つのは何なんだ。ミノフスキー粒子なのか。

 

 そして、2月6日。土曜のわさドラも食い入るように見たわけです。

 

 「山おく村の怪事件」。原作回なので説明しません。これ、法的な整理としては、村民が利便性などを理由にその村からみんな出ていった場合、土地の帰属は国や地方公共団体に寄付されていないのであればいわゆる「所有者不明土地」になるのではないかと思った(空き家問題にも連続するが。というか人が住んでいないからといって囲炉裏に火をおこして飯食う野比一家普通にコンプラ研修受けた方がいい)。調べてみると、この問題については法制審議会の大詰めを迎えているらしく、時宜にかなった原作回を打ち出すあたりにドラえもん制作陣のビンビンアンテナには恐れ入った次第です。

 「争奪戦回避銃」。「この銃で世の中を平和にするんだ!」という野比のび太に完全にダモクレスを握ったシュナイゼルを見てしまった……。たとえば1個しかないどら焼きを2人が取り合いにならないよう、その銃でどら焼きを打つとどら焼きが2個になるが、一応「分け合う」ことを前提としているので2個になったどら焼きは味が半減しているというもの。つまり、個数はステークホルダーの数だけ用意されるよう銃の効果で差配されるが、価値はその分下がるというかなり使いづらい道具ではある。大体、どら焼きぐらいだったらはんぶんこして元の味のどら焼きを食った方がよくねえか?とか、バイバインとかフエルミラー使えばよくねえか?とか、いろんな疑問がきっと生まれることだろう。しかし皆さん、我々はドラえもんにコンサルを持ち込んではいけない。まず受け取って、汲み取ってが先であることを肝に銘じましょう。ドラえもんに皮相なツッコミをする愚か者どもは一生聖書が読めないってはっきりわかんだね。

 さて、そんなクソ道具なことも相まって、マジの悪平等を生み出していく野比のび太。これは深いですよね。のび太は基本取り合いになりそうな対象物を、ステークホルダーから合意も取り付けずに勝手に銃の効果で分割していく。そのような押しつけの平等を象徴するのが「銃」というのは、これかなり考えてはりますなあという印象です。普通に感心しちゃった。

 

 ……とまあこんな具合にドラえもんを楽しめたので俺は満足です。上述の批評を真に受けないでください。いや「批評」ですらなくて、気持ち悪い人間の健全なアニメの受容過程だと思ってください。別にこの記事に限ったことではなく、文化人類学的まなざしでこのブログは読んでほしい。ただ、久しぶりにどうでもいいことを書き連ねることができて俺は本当にうれしい。来週の金曜日も会社にどんなに迷惑をかけても残業しないと誓った次第です。アディオス!