死者の如き従順

脱落者・敗北者・落伍者と連帯するブログ

結婚は人生の墓場というよりはリビングデッドの呼び声で墓地からフィールドに戻ってきている状態なのではと考える27歳童貞実家住み年収400万円男性と読書記録1129~1205

 つまりあれですわ、一応生きてはいるのだけど対策しておかないとすぐサイクロンとか大嵐で破壊されて終わってしまうよねと、そういう不安定さがあるのではないですかという話です。もっともこれはアホの観念でしかなく、実際には結婚した人間には安定があるのでしょう。結婚しないと人権が3分の1になる職場というのがあって、まあ俺のところです。クソが。まあ、こんな感じでタイトル編み出しに苦労しております。

 

 今週も滄溟の如き無でしたね。マジで朝早く起きて会社の近くの喫茶店で本読んで、仕事して、家帰ってエアロバイク漕ぎながらアニメ見て、飯食って、風呂入って、Youtube見るか本の続きを読むか……をずーっと繰り返していました。土曜日に大学の友人と会ったぐらいでしょうか。限りなく透明に近い無、というか無です。

 

 おもしれえことがあんまりないですけど、とりあえず本を読んで「ふーん面白いね」と思ったり、Youtube見て「人間は愚かだねえ」と感じたり、買ってもいない宝くじが当たった時の使い道を妄想をして我に返った時に「何やってんだ俺……」とため息を吐いたり、そういう素朴な感情を日々大事にしています。

 

 なんか世間にいっちょかみしてえなと思ったけどとんと世間がどうでもよくなってしまったな。日大の田中理事長を日比谷公園で斬首するとかそういうイベントがない限りは野次馬根性を発揮できなくなってしまったっぽい。

 

 というわけで読書です。今週は3冊読みました。

 

 この叢書マジでイカれたラインナップを次々と送り出してきているのですが、買ったはいいもののあまり読めてなかったんですよね。せっかく買ったしと思いちょっとこれを読んだのですがドチャクソハイブラウで笑っちゃった。自己認識ということで我々はいつだってデカルト御大の「我」君を思い出すのですが、何でもかんでも懐疑していった後に海侠のジンベエに「失ったものばかり数えるな!お前に残っているものはなんじゃ!」ってなった時に「なかm……思惟している俺がいるよ!!!!」って答えるのはおかしいという話らしい(これは新カント派のリッケルトも似たようなことを言っていて、ただの認識行為しかしないはずの意識に「我思う」の思惟という契機を認めるのはおかしない?と言っていたと思う)。トマスの哲学的には、俺が対象を見ているとしたら、対象の表象だけが意識に現れるのではなく、対象を見ている俺も意識に立ち現れるよなということで、一回対象に向けられた働きが自分の元に帰ってくる「立ち帰り」という新プラトン主義的な認識形態があるとのこと。

 この「立ち帰り」をほかの認識形態や、天使や神の認識とも比較しながら輪郭を明らかにしていくというのが本書の作業なのですが、もうメチャクチャ周到過ぎて読んでいて辛かったです。多分著者の問題意識としては「テメェそれは立ち帰りじゃなくて抽象的分析じゃねえか死ね!」と先行研究がいろいろごちゃまぜにしているのが我慢ならなかったっぽいけど、それにしたってそのために「何が立ち帰りじゃないのか」というところで本の半分ぐらいを費やし、そこからようやく「立ち帰りっていうのはね……」をぶちはじめるので殺すぞという気持ちを抑えきれなくなった。まあそれでもかなり勉強になったとは思う一方で、脳を中世哲学向けにしていなかったのでかなり理解がおぼろげですね。要再読っぽいのであとは任せたぞ未来の俺。

 打って変わって軽い読み物。この歳になって教養にこだわること自体が恥ずかしい気がするけど、まあ何か家にあったしということで出勤時間にパラパラと読みました。知識的な教養も大事だけど、人間のちゃんとした慎みとかを持ってやっていきましょうやという話でしかなかった。あと夏目漱石的な目線で女性を見ちゃうんですよねとか言ってたけどそのステートメント2021年にはヤベェぞってなっちゃった。著者曰く電車の中で漫画雑誌を読んでいるとダメらしいのですが、今のご時世電車の中でfanzaのサンプル動画を優先席に座って見ている男とか、養育費払えだのどーだのをずっとハンズフリーで喋っている女とかいるので、もはや漫画雑誌を黙って読んでいるだけで立派な教養人だと思いますね。

 20世紀最後の何でもできる人林達夫と頭のいい左翼久野収による異常漫談で、これは昔一回だけ読んだ。その時は「ほへー何か頭いい人ってのはいるんだねえ」と素朴な感動を持っていたのだが、今読み返してみると「俺らはフランス語や英語を操って洋学をやるけど、浪曲も聞くし、お芝居もたくさん観てるもんね」という感じのスゲェ嫌な話をしているなという印象を強くしてしまった。そんなハイからローまで嗜むほど21世紀の人間はそこまで暇じゃねえんだ、毎日ガチャを回さなきゃいけないしYoutubeも見なきゃいけないので。林達夫個人的には『共産主義的人間』は日本人必読だと思っているぐらいには今でも価値があると思う一方で、林達夫ってマジで何だったんだろうなという気がしないでもない。あと、最終盤のゲーテがたくさんお芝居見てた話とか、岩波の女性社員にテレビなんか見てんのかとか呆れられる話をしているのですが、これ200ページぐらい前にほぼ同じ話がのっかっており、痴呆老人か???と首を傾げてしまったことも記しておく。