死者の如き従順

脱落者・敗北者・落伍者と連帯するブログ

ドラえもんのび太の月面戦記見ました!!!!!!

 2月35日に見に行きました。とてもよかったです。見た後、感動しすぎて時空がグニャッとし、子どもたちが溶け出しましたが、それも含めて最高!!!!

 

 〈あらすじ〉

 2019年、月面を調査していた無人探査機「ヒロヒト」によって鉤十字マークが発見されたことがニュースになり、のび太のクラスではその正体を巡って侃々諤々の議論が生じていた。そこにWolfensteinのやり過ぎで寝坊し遅刻したのび太がやってきて「あれは月に逃げ延びたナチスの残党だ!!!!」と高らかに宣言するも、あまりに荒唐無稽だったのでクラス中から「そもそも月はレーベンスラウムじゃないんだよなあ」「生きるに値しない命」「アウシュヴィッツ以降、詩作は野蛮である」と笑いものにされてしまう。

 

 帰宅後、のび太ドラえもんにその話をするも、ドラえもんが「ナチスナチョスならあるよ?」と言われ、22世紀における歴史の風化にふさぎ込んでしまう。哀れに思ったドラえもんが出したひみつ道具は「異説クラブメンバーズバッジ」。これをつけると、バッジをつけた人たちだけが定説ではない異説の世界に入ることができるのだ。もしもボックスを出さないドラえもんのトロさにイラつきつつ、のび太は「月は人間が住める」という異説を提唱する。

 

 2人はどこでもドアで月面に行き、生存可能性を確認すると、今度はタイムマシンでドイツが敗色濃厚の時期に飛び、中東や南米に脱出しようとしていたハインリヒ・ミュラーなどのナチス高官から、東欧で迫りくるソ連軍から逃げながら虐殺に勤しんでいたアインザッツグルッペンを大量に月へと脱出させた。さらにナチスの圧倒的な暴力のはけ口にしようと、うさぎっぽい生物「ムービット」を創造し、状況をうまく呑み込めていないナチス幹部らに「ユダヤ人が擬態している。最終的解決を遂行せよ!」とうそぶいた。

 

 少し時間をおいて再び月に行くと、そこは「モーント保護領」となり、ナチスが月のうさぎたちを「ユダヤ人」とみなして虐殺している様がみてとれた。のび太は「これでナチス残党説が立証できた!!!!!」と己のマッチポンプぶりに欣喜雀躍した。次の日、学校にはどこか愁いを帯びた美少年の転校生・月野ルカがやってきた。ルカは「アーリア人は月起源なんだよ!!!!!」と力説するのび太に興味を覚え、彼を尾行。その過程で異説クラブメンバーズバッジの存在を知り、一計を案じる。

 

 のび太ドラえもんスネ夫ジャイアン、しずかに異説クラブメンバーズバッジを渡すと、ルカも「行きたい」というので気前よく渡し、月面へ招待する。月面ではナチスがアドルフ・アイヒマンらの尽力により、絶滅収容所への輸送体制や移動虐殺部隊の効率化など完全な虐殺機構を完成させており、ムービットの異常な繁殖力を上回る数の一日殺害記録をせっせと更新し続けていた。のび太達は「名誉アーリア人」として好待遇を受けるが、酸鼻を極める光景に「もうおなかいっぱいかな」となり、早々に辞去する。その最中、一行はアインザッツグルッペンがムービット100万匹虐殺記念で発射した迫撃砲弾の爆発に巻き込まれ、のび太は異説クラブメンバーズバッジを落として気絶してしまう。もちろんバッジを落とせば月には人が住めないため、絶体絶命だった。

 

 ところが、のび太は気が付いてみると息もでき、重力も普通だということに気づいた。ドラえもんたちが駆けつけると、傍らにいたのはルカで、彼が助けたという。話を聞くと、ルカは「カグヤ星」という星で生まれた超能力を持つヒューマノイドエスパル」で、わけあって今は他のエスパルたちと月で生活しているのだという。何かすごい科学力で空気や重力も地球並にしているといい、のび太は「何故君は地球に来たの?」と聞くとルカは「助けを求めるため」と言った。そして衝撃的な真実を暴露する。

 

 ――月には本当にナチスがいると。

 

 ルカによると、暗殺されたとみられるベーメン・メーレン保護領副総督にして、人呼んで「ヒトラーの絞首人」ラインハルト・ハイドリヒがトゥーレ協会のすんごい研究で不老不死化し、さらにはV2ロケットの実験中に月に脱出し、ゲシュタポの一部と月でナチス復権のために地球侵攻の足掛かりとなる軍事拠点を築いているという。さらにはルカたちエスパルこそ「アーリア人の祖型」とし、捕縛するために月の裏側では常にナチスが開発した無人兵器や高性能宇宙服と対ユダヤ・レーザー銃で武装したゲシュタポが巡回しているという。ルカは、どうにかしてナチスを月から追い出してほしいのだが、まずそんなことが信じられないため、それを信じやすそうなのび太に近づいたという。

 

 のび太が「大丈夫! ぼくたちは枢軸側だから説得すれば何とかなるよ!」と力説するも、ドラえもんが「今は日米同盟を堅持しているからナチスからすれば裏切者だよ!!!!」と打ち消す。そこで運悪くゲシュタポ無人兵器に発見される一行。運悪くエスパルのコロニーも同時に襲撃を受け、既にルカ以外のエスパルは捕縛されてしまう。のび太たちは辛くもどこでもドアのあるところまで戻るも、ルカはのび太たちをかばい残ってゲシュタポと戦う。

 

 どこでもドアが破壊され、月との移動手段を失ったのび太たちはルカを助けるべく、警察、自衛隊、総理大臣、国連事務総長、こども電話相談室に電話をかけるも、警視庁からは「当庁の管轄外です」、自衛隊からは「シビリアン・コントロールなので」、安倍晋三にはご飯論法でかわされ、グテーレス事務総長は「月についてはまだ国際法の整備が……安保理招集の根拠にはとても……」、こども電話相談室は「自殺(を)相談(する)ダイヤルにかけてね」と返され、鉄人兵団襲来時同様まったく相手にしてもらえない。

 

 しかし、この男だけは本気にした。第45代アメリカ合衆国大統領ドナルド・トランプだけは。

 

 のび太たちのすがるような声に「MAKE AMERICA GREAT AGAIN」とだけ答え、即座にホワイトハウスのスタッフを招集した。

 

 おりしも北朝鮮のボンクラとの会談に失敗したトランプだったが、その失策を挽回するために月のナチスを米軍が討伐するのは得策だと考えたのである。一方、ペンス副大統領以下多くの閣僚やスタッフが「中東を抱えている今、さらなる戦端を開くのは得策ではない」と主張するが、介入主義者で単独行動主義者、アメリカのスーパーパワーを信奉するボルトン補佐官が「月は人いない建前だし、核兵器ぶっ放せばいいのでは?」ととんでもない説をぶちあげるとトランプは「それだ!!!!!!!」と叫んだ。人類史上最初にして最後の絶対的敵対者であるナチスに対しては核もやむなしという西洋特有の論理によって、ヒロシマナガサキに続く第三の核使用が戦略軍の指揮下で行われることとなった。これを聞いたのび太たちは「エーッ!お月見できないじゃん!!!」と反発するも、トランプは「シンゾーの許可はとっている」と譲らない。改めて対米自主路線しかないと痛感するのび太たちだったが、とりあえず月についてはビッグライトで大きくした復元光線を使えば何とかなるだろと考え、核兵器がロケットに乗って発射される前にルカたちを助けようと決意する。

 

 その後、何やかんやあってルカたちはのび太達に救出され、そのタイミングでアメリカも核兵器を月に向けて射出。もちろん月は吹っ飛び、ハイドリヒらナチスも宇宙の藻屑となって消え、トランプはすぐに「NAZI HUNT!!!!!」とツイートする。のび太たちは復元光線を使って月だけ修復することに成功した。その後、ルカたちはエリア51に移送され、さらには中東秩序を維持する兵器として米兵が完全撤退した後のシリアに送られることとなるがそれはまた別のお話。のび太たちはもうアメリカにもナチスにも月にも二度と関わりたくないと思いながら、日常生活に戻っていった……。

 

 無人のはずの月。異説クラブメンバーズバッジをつけた者たちしか認識できない世界で生きていたミュラー率いるナチス残党たちが、一斉に「定説クラブメンバーズバッジ」をつける。これは異説の存在が定説として、普通の世界でも存在できるようになる道具で、のび太が落としたバッジを解析してナチスが開発していたのだった。彼らは、虐殺の衝動を再び地球に向けんとして、暗躍を始める――。

 

 〈感想〉

 ドラえもん映画でナチス改変ものをやるという心意気に感動しました!!!!!やっぱりドラえもんたちが核兵器で破壊された月の破片を集めて復元するのが見せ場でしたね!!!!!!大長編っぽい!!!!!ただ、対米従属している日本という構図はいささか制作側の政治的メッセージとしてうるさかったかな~。まあそれも含めて、考えさせられるようなところもあったので、大人もみられると思います!!!