死者の如き従順

脱落者・敗北者・落伍者と連帯するブログ

28歳のリアル――あるいは最果てを夢見て

 調べたら28才のリアルはなかったですね。27才と29才はあるのですが。狐火、空也MC、輪入道……ありがとう……。

 

 というわけで私も本日で28でございます。うーん、大人って感じですね。もう何か諸々のことに言い訳がきかなくなってきたという実感があります。そろそろ人生を見定める時なのでしょうね、ただそれはパンピーの意見ですわ。こちとら戦闘的ジェスイットなのでまだまだチャランポランしていきますよ。

 

 コロナが落ち着いたので「今や!」と思い、色々な人と会っては酒を飲んだり飯を食ったりして近況を聞きまくっていたが、皆それなりに面白おかしく人生をやっていて重畳って感じだったが、じゃあこの人の人生を俺が生きた時に「佳き!」という気持ちになれるかと自問したところ残念ながら答えはNOだった。キャバクラに金を継ぎ込むためにイカレコンサルでハードワークをしている救いがたいチンチンから目標のためにちゃんと貯金や勉強をして弛まぬ自己研鑽を送っている令和の立志マンまで色々な人が良かれ悪しかれ自身の人生の「目的」を追求しているように思えた。また、そういう明確な「目的」がなくても、日々の生活を彩るために趣味をやっている人たちもいた。

 

 こういう人たちと比べると俺は根本的に半端者なので、チャンネーと話したいという欲望もないし、将来なんぞどうなってくれてもいいと思っているし(ただ人類の破滅に立ち会うために一日でも長生きしたいと思い始めている。実際生き延びたからこそ2021年の破滅的狂騒の数々に立ち会えたので、この僥倖を素直に喜びたい)、別にそこまでして何とかしたいなという趣味があるわけでもない。ただ単純に「面白いことが知りてえ、面白い空想に出会いてえ、面白い人間になりてえ」という掴みどころのない欲求は絶えずあるため、この無軌道な人生をドライブする情念と言えるだろう。その意味で読書もアニメも映画もゲームもそのための手段でしかないので、残念ながら趣味とはいいがたいものがある、と今更ながら気づいた。悲しい性だが、こういう人間が一定数いてもいいのかなと思う。

 

 そんな俺の人生にまとわりつく不幸について挙げるならば、労働に向いてなさすぎるということだろう。正直に申し上げると、別に仕事で無能というわけではなく、何なら前職でも現職でもそれなりにやっていっている方だと思う(少なくとも新卒1年目の何も分からなかった時期を除いて「お前仕事できねえな」と言われたことは多分一度もない)。しかし、何だろうか、労働を「面白い」と思えないし、むしろ毎日働いていることが苦痛で仕方ないのである。何でこんなことをやっているのかと言ったら、マジで生活保護を受けるということをちっぽけなプライドが邪魔しているだけだと思う。そうは言っても、もし宝くじ10億円が当たって仕事を辞めてもう何もしなくていいよとなった途端俺は間違いなく完全な無になっていると思う。結局のところ向いてなさすぎる労働とやらがある程度自分の実存の核に食い込んでしまっていて、今更これを分離するのも難しいなあと思う。

 

 社会人6年目にしてありきたりなことに気づいたのだが、俺ぐらいの人間は「みんな違ってみんないい」の精神でやっていくのがちょうどいいっぽい。他人を頭ごなしに否定できるほど大した人間でない一方、自身が否定されたらそれはそれで暴力に訴えたくなるからである。もうそんなアレコレで人生を消耗するぐらいなら俺は俺の畑を適当にほじくり返しますわ(間違っても「耕す」とは言えないのが悲しいですね)。何か最近その手の話をよく聞くようになったし、また自分としてもかなり共感できるところが多いのだけど、もうそろそろそういうゲームから足を洗ってもいいと思う。心底嫌いになれるほど他人に興味があったかと言えば、そもそも嫌いより先に殺してえが来るので俺はとことん自己中心的なんですわ。

 

 このブログを始めてからの誕生日エントリを読み返していたら、本当に人生を重苦しく考えていて笑ってしまった。まあ、でもそんだけ悩み抜いた挙句俺はただの一半端者を貫き続けるぞと決断したので、よかったと思う。それでお前に何が残るって言われても何も残す気などないし、どうせ米露核戦争で世界は終わってくれるはずなので好き勝手に生きてもいいだろう。ガキの心を持ったままの大人でいること。徹頭徹尾人間の営みを突き放しつつも、個人の尊厳に敬意を払うこと。自分のバカさ加減に呆れつつも、知性を適度にワークさせること。

 

 インターネットでよく「子育てとか結婚とかしてない奴はすぐわかるよ。幼さだけが奇妙に残ったグロテスクな老い方をしているからね」と言って人を馬鹿にする風潮がある。心底くだらないと思うが、しかし健常者やdecentな人間とかいう吐き気のする連中がそう思ってくれるのであれば、連中にとっても吐き気を催すような人間ありてえと思いました。やっていきましょう。