死者の如き従順

脱落者・敗北者・落伍者と連帯するブログ

世界がどんどん変わっていく一方日常が色あせていくことに危機感を覚える28歳童貞実家住み年収400万円男性

 2年前には新型コロナウイルスの感染が取り沙汰され、慣れないマスクをつけることに戸惑ったり、まさかの会社に行かない日々が続いたりするという、日常の変化にいささか驚いたものだ。そして今次ロシアがウクライナに侵攻を仕掛けた時、俺は慣れ切ったマスクをつけながら半数がテレワークしているチームの中で元気に出勤していたのだ。

 

 今次の出来事は、できる限り客観的に予断を排した表現でも「ロシアによるレジームチェンジ」であることは明白である。クリミアをやってから長いこと周到に準備し、NATOアメリカの反応を伺いつつウクライナを守るために軍を出すことがないことに確信を深め、一気呵成に攻め込んだ。これはまあ、トランプ流に言えば「賢い」手法ではあれど、長期的な「賢慮」に基づいた行動であったかというとかなり微妙だろう。結果として、ロシアはナチス・ドイツとタメ張れるのでは?というぐらい国際社会では悪者になり、欧米がかつてないほど結束しているのだから、それを上回るだけのメリットがウクライナ侵攻にあったのだろうか。もっともプーチンの頭の中に存在する目的が全てだとしたら、こんな問いかけは無意味すぎるわけだが。

 この行動に対するアドボカシーはNATOの東方拡大がよくなかったとか、ウクライナが現実を無視したとか、そもそもそんなレジームとやらは大量破壊兵器をでっち上げてイラクをぶち壊したアメリカによって粉々にされていたので今さらかよ、などといろんなことが言えるのだろう。人間は好き勝手に言語を弄することができるので、道徳とか倫理とか無視すれば何とでも言うことができる。とはいえ、事ここに及んで道徳的相対主義に立つのは本人がありとあらゆる国家権力に反対する真性のアナキストであったとしても、外形的にはロシア側を利することにしかならない。本人は冷静に世の中を見ているつもりかもしれないし、実際そういう目線は必要なわけだが、とはいえ非難を甘受する覚悟もそれ相応に求められるのではないか。

 もう少し別の立場を考えてみよう。ウクライナの人々がロシアの圧倒的な暴力に晒され続けてきており、そして今やその暴力がピークに到達せんとしていることについて、「ま、遠くのことやしね」と言って冷淡に振る舞うのは想像力や感性の欠如と評価されることはあっても、それがじゃあ当のロシアほど責め立てられるほどの「悪」なのかというと倫理学的には考慮の余地があるだろう。俺は「我々には遠くの人々を救う義務がある」とまでは言うつもりはないが、せめてそれらの人々がよって立つ最低限安心安全に暮らすことができる世界の整備には一定の責任を人類は応分に分有すべきではないか、という気がしなくはない。もっともこれは理論的考察による何らの裏付けのない直観レベルの話でしかないが。そういうことを踏まえて、いつもはふざけたことを言いまくっているこのブログでも、流石にウクライナ人がプーチンの恣意であなまろ家族になってしまうとか、そういうことはあまり言わないようにしようと思った次第である。あと、本当に些少な額ではあるが、募金もしました。

 NATO及びアメリカに第三次世界大戦をおっぱじめる気がないことが明白である以上、人類の終焉を心の底から願っている俺でも「これってプーチンウクライナ人を宿儺みたいに『鏖殺だ!』ってやってあとは巨大な虚無緩衝地帯をNATOとの間に設けるだけの無イベントでは???」と思う。このイベント自体は国際社会を根本的に変えてしまうことは疑うべくもない。しかし、じゃあ俺の日常、そして俺を取り巻く世界はまだあまり変わりそうにない。日常の激変とは、ロシアか中国、はたまた北朝鮮が日本に侵攻してくるか、激ヤバコロナ変異株で人々がバタバタ死んでいくか、というような現段階では荒唐無稽な想像力の域を出ないものばかりである(もっとも、「荒唐無稽」から「リアル」への境界線をひとっとびできるというのは今回の教訓ではあるわけで)。しかしそういう日常を生きていること自体がある種の少数者の特権になってしまうような世界はごめんである。もしそうなるのであれば、集団自殺あるのみだ。

 しかし、ウクライナに「(ロシアの侵攻を辞めさせるために)何もできるもの無いから、経済制裁と兵器を支援するよ!」とアリス・カータレットムーブをかましている世界に目配せすると、どうにもこうにも集団自殺する気がなさそうに見える。その意味ではやはり自殺しかねえなと思っているところであり、今必死に自分が死ぬための勇気を鍛えるためにはどうすればいいのかなと考えている最中です。

 

 最後に仕事のことを。俺のことはいくらでもディスってくれていいが、俺の代わりに誰かをサンドバッグにするのは辞めてほしい。